理想を現実にするプリントTシャツの近道
ヒールの靴では三十分と歩けないとおっしゃったでしょう。
私のすすめる靴なら、一日歩けますよ」このときは、お客様が折れて、こちらがおすすめする靴を買っていただきました。
この方はいまでは常連のお客様の一人です。
このお客様に限らず、私は靴を売っているのに、売らない接客をしていることが少なくありません。
お客様の気持ちを害することもあるでしょう。
強情でごめんなさいと、いつも心の中でお詫びをしています。
「自己申告サイズ」についてお話ししました。
たいていの場合、来店されたその場で採寸して、申告サイズが間違っている場合は、納得していただけるのですが、しかし、絶対に自分のほうが正しいと譲らないお客様もいるのです。
高齢化社会になり、七十歳でもおばあさんと呼ぶのに違和感を感じるほどお元気な方が多くなり、慶賀の至りです。
そのお客様も元気な七十余歳のおばあさんでした。
女性にしては足が大きく、若い頃からいつも気にして足が小さく見える靴をはき続けたせいでしょう、ひどい外反母祉になっていました。
娘さんといっしょに店に来られたのですが、採寸するとサイズは二五・五センチで、男性のサイズに近い足です。
最近でも小さい細い足を良しとする傾向が残っていて、それが先のパンプスやハイヒールによる弊害を生んでいるくらいですから、そのおばあさんが若い頃から悩まれて、小さい靴をはき続けてきた切ない思いは理解できます。
おばあさんの足に合ったサイズの靴を出してきで、はいていただきました。
すると、ご本人は大きい大きいとしきりに言います。
私の目にはすこしも大きくなく、足がしっかりと靴におさまり、捨て寸もとられていて、大丈夫なのです。
「捨て寸」とは、歩くとき靴の中でつま先が窮屈にならないようにとったゆとりの寸法のことです。
ところが、おばあさんご本人は納得しかねる様子で、店の棚に飾ってある二三・五サイズの靴をもってきて、はこうとするのです。
「そのサイズは小さいので、もしそのデザインがお気に召したなら、合うサイズを出してきますから、待っていてください」「ちょっと、はいていいかね」「いいえ、それはだめです。
これはまずはけないし、靴もだめになります」「ちょっと、はいてみるだけ。
私はいつも二三・五サイズを買っている」娘さんが、私の耳元で「うそです」と言います。
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